文字どおり、刃口板

一般の方には、冷や汗が出そうなシーンでしょうか?

昇降盤という、材木を切断して、幅を決める機械です。
通しているのは、おなじみ「リアル バターケース」の動く底板(というか中板)です。
微妙な幅の調整が必要なので、0.1〜0.2mm単位で、切って、幅を狭めていきます。

部品が、木の板の上を通過しています。
この板のことを「刃口板(はくちいた)」といいます。
刃の口にある板だから「刃・口・板」です、文字どおり。
ほかに名前を思いつかないぐらい、愚直なネーミングだ。


なぜ、ここが木の板なのか? それはですね。
われわれは、たくさん種類のノコギリ刃(チップソーやカッター)を使う。
で、加工に応じて、幅や厚みが違うものをとっかえひっかえ付け替える。
木工作家さんは、一般的に3mm幅の刃をよく用いるが、
12mmとか、21mmという幅広の刃をつかって、溝をつくったりもする。

だから、その刃幅や、また、刃の傾斜角度に合わせて、刃口板をつくるのです。
こんな感じで。

(左)今回新調した3ミリ幅用の刃口板。材はクルミ(中)6ミリ幅のカッター用。材はタモ(右)あら木取り用のなんでもOK刃口板。機械購入時についていたもので、材は不明(下)刃を45度に倒したとき用の刃口板。わかりやすいよう裏から撮ってます。材はタモ。
刃口板を使わず、大きな板をかぶせて、刃を出し、その上を滑らせて切断・切削加工することもある。そのやり方は、またの機会に。

どうやって作るのかは、ごく単純なことで、
木材の幅と長さと厚さを合わせればいい。
しかし、微調整が必要。
そのへんのところ、木工家さんは、いろいろ工夫してやっていらっしゃって、
「刃口板」と検索すれば、いろいろ出てきます。

なので、そのテクニックは、先達の方に譲るとしまして。
ウチの昇降盤、服部の軸傾斜盤ならではの、刃口板の形状と加工です。

ウチの昇降盤の刃口板をはめる部分は、なぜか角が丸い。一般的には90度なのだが。で、上のようにベルトサンダーで削って面を取って、ササッとピタリと合わせる……のは、けっこう難しいのです。

ふーっ。大仰ではありませんが、ひと仕事です。


そして。
あらかじめ、刃の位置を下げておいて、刃口板を載せて。
スイッチをONにして、刃の昇降ハンドルを静かに回していきます。

まさかのために、テープで板を留めておいてから、刃を出していきます。最初は必要最低限だけ、出すようにしています。

「♪昇るサンライズ」といった歌詞の歌謡曲がありましたが…。
(中村雅俊さんでしたかね?)

サラピンの刃口板から、刃が出てくる瞬間というのは、
いつやっても、ご来光を拝むような気がするのは、わたしだけ?


11/06/13 recorder-004

木工のこと、日々の仕事のこと
Craft Recorder