バターケースも、試作を繰り返しているうちに 材料が底をついてきた。 そこで、材料を購入しに、 お世話になっている木材屋さんに出向いた。 どうせなら成果報告を、と思い、 最新のバターケースの試作品を携えて行った。 木材屋さんの店先にて。 「うわぁ、キレイですねぇー」「おお、すごい!」 でき上がった木製のバターケースは、歓迎の意をもって迎えられた。 苦労して完成させた甲斐があったってものだ。 うれしさ百倍である。 ほんと、うれしかったのだが…。 ひとりのスタッフ氏の感想に、虚をつかれた。 「これは“一生モノ”ですね!」 喜々とした顔で語られる、彼の素直な言葉。 もちろん。 スクエアクラフトがリリースする木のバターケース 「リアル バターケース」は、 こわれない、長持ちするものをと思い、設計したものだ。 材料だって、この上なくタフなものだ。 組み立てにも細心の注意を払っている。 接着剤もアメリカ製の、強靭かつ安全なものを採用した。 でも、一生モノと言えるのか? 正直、自分のプロダクトを そういう観点でフィルターにかけたことなかった。 工房に帰ってからも、考えつづけた。 そういえば。 世のなかの高額商品って、はたして一生モノなんだろうか? 電化製品は部品の保有期間で考えれば、だいたい5年〜9年。 つい先日、購入から6年半のプリンターの修理を断られたばかりだ。 クルマ。“一生モノの愛車”なんて言葉は使われない。 国が補助金を出して、一生モノのクルマを否定している? 住宅だって、日本では一生モノではない。 40年そこらでマンションの建て替え問題が起こっている。 かように、モノの使用サイクルは短くなり、 高額なものが一生モノでなくたって、商品としては成立する。 かりに、一生モノの商品を作ろうとすれば。 クルマであろうと、電化製品であろうと、 コスト、価格に反映することは確か。 これは、バターケースについても言えることだ。 さて。どうすんだ!カワハラカズキ!! うーん……。 結論として。 コストをかけない範囲で最善を尽くし、 さらに強度を上げることにしました。 申し訳ありません。 またもや、発売の延期です。 変更点として。 ◇材料の厚みを上げる(材料コストに影響がない範囲で) ◇厚くなった分、サイズが大きくならないよう、内寸をしぼる ◇組み立て方式の改良(フタの部分。見えないけど手間をかける) 材料代は、これ以上かけられない。 ならば、自分の仕事でカバーしよう。そういうわけです。 外見は、あたらしいトップページにあるとおりで、 大きな変更は行なわない予定です。 すでに、いくつかのお問い合わせをいただいており、 かつ、自分に近い人からは「まだか!」と、お叱りの言葉も。 ごめんなさい。 こんなに反応があるとは思いませんでした。 もちろん、ハングリーマーケットにしているわけでもないんです。 「もう、ホームページをチェックするのは手間だなあ」 と思われる方。よろしければ スクエアクラフトのホームページの 「factory information」から、メールでご連絡をいただければ、 発売の運びとなりしだい、ご連絡いたします。 ご連絡いただいた方からご案内を差し上げ、 ご希望の方から順にお渡しします。 あくまでも“ご案内”です。予約ではありませんので、お気軽にどうぞ。 すでにいただいている方は、ご連絡の必要はありません。 その時期は…。 「三度目の正直」を宣言するのがこわいのですが…。 初回ロットの完成日が。 早くて3月10日 遅くて3月20日 もちろん、2011年の3月20日です。 こんどは厳守します! 【追記】 遅れることでは有名なイタリアの(定番?)職人ジョーク。 客「オレの靴はいつでき上がるんだい?」 職人「3月にはできあがるよ」 客「まさか、1年後の3月じゃないだろうなぁ?」 職人「おお…どうしてわかったんだ…」 ………。 こんなこと書いてないで、がんばります! ■2011/02/16■ archives Illustration:Motoko Umeda |
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