あなたのお宅にはバターケース、
あるいは、市販の容器入りのマーガリンがありますか?

バターナイフは、ケースや容器に差したまま、置いたままですか?
それとも、食事が終わったら、そのつど洗いますか?


バターナイフを洗うか?
洗わないで冷蔵庫にしまうか?

これをめぐって、
たくさんの摩擦、衝突、論争が起こっているようです。
こういった悩みや相談が、いくつも、たくさん、
ネットの相談サイトに持ち込まれていることから、わかります。


で、タイトルを「バターナイフ相談室」にしてみました。
とはいっても、相談の受け付けはしていません。
表題をエモーショナルにしたかっただけなんです…。

木のバターナイフを買おうと思って検索された方、申しわけありません…。
ブラウザの“戻る”ボタンで戻ってください。
当工房は、木のクラフト工房ですが、
木製のバターナイフは作っておりません。
(ちなみに、理由を後述しています)

バターナイフで洗う、洗わないで悩んで、検索されて来た方、
googleで「バターナイフ 洗う」への、検索の旅をおすすめします。
一日も早い解決を祈っております。
いってらっしゃい!


…さて。旅立たずに、残っていただいたお客様、
おっと、こちらは検索の旅からお帰りですか? おかえりなさい。
よろしければ、はなしの続きを。

お帰りの方は、
「yahoo相談箱」や、大手小町の「発言小町」を読まれたかと思います。
なかなか、興味深かったでしょ?

パンくずだらけのナイフを、ケースに差したままにする夫を嘆く妻。
バターナイフをケースから出して毎回洗う妻を、几帳面すぎると嘆く夫。
どちらのサイドにも、言い分はあります。

さて、あなたはどっちのサイドにつきますか?

私は。
「洗う」サイドにつくことにしました。


なぜなら。
バターを清潔に保つこと、カビを生やさないことに、
気をつかっている人がたくさん存在するからです。

相談箱の質問と回答、意見をくりかえし読みました。

そして、わかりました。
「そこにニーズがある」
そう判断したのです。


話が少しそれますが。
以前、出版社で編集者として、本をつくる仕事をしていました。
そのとき大事にしていた考え、というかモットーがありまして。

「読者をイメージして作る」

これ、大事なんです。記事を作ったり、雑誌を創刊したりするときは。

たとえば
「都内在住OL。秋の3連休に京都へでかけるためのガイドブック」とか、
「ロードバイク初心者へ。お尻が痛くならないためのサドル選び」とか。

私が作りたい本ではない。
自身が好きなことを記事にするわけではない。
ニーズがあってこそ、商品であり、仕事ですから。

とはいっても、そのニーズをそのまま受け売りするのではなくて。

既存の商品では満たされないニーズを察知することが大切。
これは、本だって、バターケースとバターナイフだって変わらないはず。


このたび発売となる、スクエアクラフト「リアルバターケース」の
木製のバターケースの商品のコンセプトである、

【バターのためのバターケースを】
【バターをつかうひとのためのバターケースを】

この言葉は単なるスローガンやキャッチコピーではなく、
「バターを使う人を、頭のなかにイメージする」ということなのです。

その帰結として、

バターを大事につかうには、ナイフは入れっぱなしにしないほうがいい。
だから、バターナイフを差しこむ穴、スリットはない。
バターナイフが木である必然性はないから、
スクエアクラフトでは作らない。

そういうことなのです。


【追記】
このまえ、松本への所用のついでに、
カレー屋さんで昼ご飯を食べた。

カレーライスを待つあいだ、
テーブルにある福神漬けのビンにささっているスプーンに目がいった。

そのとき、キッパリと思った。
「バターナイフは毎回洗わねばならぬ!」と。

もし。もしもだ。
そこにある福神漬けやラッキョウを取るスプーンが、
何日も取り替えられない、洗われていないとしたら、どうだろう?

もしも、店主が
「それってさ。口に持っていくわけじゃないから、キレイでしょ」
という説明をしたとすれば…。

そういったシーンを、客として受け入れられるだろうか?


■2011/01/27■



archives
Illustration:Motoko Umeda
【Link】バターケースについての工房内リンク
2008年4月〜2011年3月 工房創成期の軌跡
日記アーカイブス
スクエアクラフトの
木製のバターケース
「リアルバターケース」
くわしくは工房HPの
「木のクラフト商品紹介」をご覧ください
 
 
 
 

バターナイフ相談室