バターケースを見かけると、
作家ものであれ、廉価品であれ、手に取って確認する。

たいていのバターケースには、
ナイフを入れるスリットがある。
学校の体育館には卓球台があるかのように、ある。


なぜ、バターケースにスリットがあるのか?
これにかんしては、スクエアクラフトのホームページ
「バターケースのコンセプト」で考察しているとおり。
ルーツは、市販のマーガリンの容器についている、
ナイフの差しこみ口では、と考えている。


スクエアクラフトのバターケースには
ナイフを入れるスリットは、ない。
最終的に『必要なし』と判断したから、ない。

しかし。
もしも、私が、大手メーカーに勤めていて、
バターケースを企画する立場にあれば、どうするだろう。

「スリットなしで進めたい」とは言っただろう。
しかし、会社での自分の業績・成績と立場を考えると、
「スリットつきでいきましょうかね」
と判断するかもしれない。

もし、売れなかったら、
「スリットがない」ことが、
その原因とされる恐れがあるからだ。
大きな会社でモノをつくる、企画するというのは、
失敗しないこと、減点されないことが大事なこともある。
身をもって、事例として、経験している。


それに引きかえ、いまは。
リスクは自身が引き受ければいい。
そういう意味で、いま、シンプルに仕事ができる。
だから、シンプルに、思うところを
今回発売する木のバターケース、
「リアル バターケース」に投影させればいい。
よってスリットは、なし。

もし売れなければ?
それは、また考えればいいことだ。
それとも。ダメなら、
バターケースを携えて海外に行ってみるか?

というのも、さっき。
ふと…『外国のバターケースはどうなんだろう?』と思い、
web画像を調べてみた。
そのかぎりではあるけど、
スリットつきのバターケースはないようだ。

なるほど。やっぱり。

だからといって、
「スリットなしが、正統なバターケースだ!」ということではない。

「スリットありが、ニッポンのバターケース」なのだ。
これが文化、ローカリティーってものだろう。
醸成された思想や風俗、習慣を
グローバル・スタンダードという剣でブッタ切ってはいけない。


スリットがないスクエアクラフトのバターケースは
カワハラカズキ一個人が作って、売る。
こうやって、アグレッシブ気味に書いているのは、
商品説明として、考えを述べたいから。ただ、それだけ。
できるだけ正確に。かつ熱意をもって。

「そうそう。こんなの欲しかった」と気づいてもらえるよう、
その特長と意図が伝わるようにしたいのです。


【追記】
海外のバターケースに、スリットがない。
ということは…マーガリンも?

おなじみのマーガリン「ラーマ」について調べてみた。
海外のラーマには、差しこみ口、スリットがないが、
日本のラーマには、ある。

ほんとスゴイなあ。
日本人の改善に対する熱意たるや。
「カイゼン」という言葉が、
世界の製造現場で通用するのも、むべなるかな。

日本の朝はいそがしいのだ。
バターナイフを探す時間も惜しい。
遅刻必至の“のび太”よろしく、トーストをくわえて、
足をグルグル回転させて学校へ行くほど、いそがしいのだ。

■ 2011/01/25■



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Illustration:Motoko Umeda
【Link】バターケースについての工房内リンク
スクエアクラフトの
木製のバターケース
「リアルバターケース」
くわしくは工房HPの
「木のクラフト商品紹介」をご覧ください
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