「クッッ…!」
ピンルーターでの切削加工のさなか、
ルータービットがポッキリと折れた。
きょう2本目の刃折れ。
どっちも根元から刃がすっとんだ。
ハードウッドの切削に際し、
6mm径のストレートビットでは、強度が不足していたのだ。
材料の比重が「0.9〜1.1」の超ヘビー級、難削材。
深さ1mmから1.5mmずつ下げていけば大丈夫、と思っていたのだが。
考えが浅かった。設計が甘かった。
1本目のビットは、定評のあるメーカー品。
2本目は、ホームセンターで買ってきた廉価品。
1本目はそれなりにもったが、
2本目はアッというまに負けてしまった。
いずれにせよ、これでは話にならない。
刃物のコストで、採算がとれなくなる。
12mm径のビットで切削するよう、設計変更をした。
折れた刃先は、どっかへ飛んでって、行方不明だ。
もし当たっていたら、と思うと身の毛がよだつ。
それが影響したのか、その後の加工は切削面に精度を欠く結果となった。
12mmのビットだから大丈夫だとはわかっているのだが、
精神的になんらかの影響を受けているのだろう。
大事なものを作っているのだ。
期限も決められている。
時間に限りがあるのはわかっているが、
安全性と仕上がりの正確さが向上するよう、ジグを作りなおした。
「急がば回れ」
ありていな言葉だが。
むかしやってた料理の仕事なら、
時間がないなら、ないなりのやりかた、ゴマカシのきく部分があった。
しかし木工の場合、たいてい、そういうわけにはいかない。
そういうわけにはいかない仕事だから、やる気がでるのだ。
■ 2010/11/11■
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Illustration:Motoko Umeda
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