ブラブラと、街を歩いていた。
こんな広告を目にした。

「潤いファンデ」

その横にうるわしい女のコがいたので、
化粧品で「ファンデーション」ということは判ったけれど。
アメリカ人も解せぬ略語だろう。


本屋さんに入って、雑誌売り場で。
こんな特集タイトルを目にした。

「新作アクセ」

女性誌だから「アクセサリー」ということは判ったけれど。
イギリス人も解せぬ略語だろう。


木工界でも、解せぬ略語、というのはある。

「自動」
用例:自動かけといてー

木工やってる人なら、
「自動かんな盤」ということは判るが、
普通の日本人では解せぬ略語だろう。

カンナが自動になったから、自動かんな盤。
電気の力で幅広の刃を回す。
そこに材料を送って削り、
木の表面を平らにし、厚みを均一にする機械だ。

現場で「ジドウカンナバン」と
イチイチ言ってるのは面倒なので、
「ジドー」と略されるわけ。


しかしながら、自動になったからといって、
「自動」をかけ、木材の厚みを決めるのは、
けっこう時間がかかる作業だ。

なんどもくりかえし「自動」に木材を送る。
仕事に追われたアタマで、ふと思う。

みっちりファンデーションやってる時間、あるんだったら、
ファンデを、ファンデーションって、
きっちりと言っている時間ぐらい、あると思うんだけどな……。


このことを同業の木工女子に話すと、
おざなりな返事しか返ってこなかった。

きっと、女ゴコロがわかっていない、と言いたかったのだろう。


■ 2010/10/28■



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Illustration:Motoko Umeda
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