木でモノを作る。
木を材料に、道具や機械を駆使してモノを製造する。
わたしも、製品を製造している人である。
私の職業、ざっくり分類すれば「製造業」だ。
そんな製造業の現場において、
通称「KY」と呼ばれる言葉がある。
“空気、読めない”ではない。
“危険予知”の略である。
危険というのは、事例を集めれば、
あるていど、予知は可能であるということだ。
しかしながら、木工においては。
木というのは、金属や樹脂のように、
材料が均質ではない。
同じ樹種でも、木目の密度の違いや、節があったりする。
均質ではなく、ムラのある木材に
毎分、数千・数万回転で回る鋭い刃物を入れて、
切ったり、削ったりするのは、
「KY、ケーワイ」と唱えようとも、
そんな危険予知さえ及ばない危険が存在することも。
それは、スリルともいえる。
そう、木工はスリリングだ。
一般的なイメージとは、違いがあることかと思う。
一日じゅう木工機械を回せば、
頭がグルグルとして、身体がフワフワとした感覚になることがある。
ジェットコースターに、たて続けに乗ったかのような、
スリルを堪能した感じ、といいましょうか…。
だからなのか。
木工をやり始めて、
クルマを、より安全運転で走らせるようになった。
安全速度。念入りな左右安全確認。
『スリルなんて、もうたくさんさ』
深層心理的にそう思っているからだろう。
【付記】
あの『マーフィーの法則』に
「スリル願望の法則」というのがある。
@一般人は安全なスリルを望む
A挑戦者は危険なスリルを望む
B異常者は危険を望む
私はAであり、@も該当する。
けっしてBではないと思うのだが…。
■ 2010/10/13 ■
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Illustration:Motoko Umeda
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