ありがためいわく










木工をやっているなら、
誰しも持っている電動工具、
「ジグソー」

細い板状のノコギリ歯が、垂直に早く、細かく往復運動をして、
機械が進む方向に木材を切ってくれる、手持ちの電動工具だ。

ジグソーがピンとこない方。
この日記、PCで読んでおられるかと思うので、検索で…。

そのジグソーのノコギリ歯の往復運動なのだが。
最近のモデルには、たいてい付いている機能がある。

「オービタル機構」というやつだ。

オービタルというのは、ですね……説明が難しくて。
なので、これも検索して……。
というのも無責任か?

ジグソーのノコギリ歯というのは、
垂直方向に、上方向に動くときに切れる。
いっぽう、下方向に動くときには切れない。

で、オービタル機構というのは、
ノコギリ歯が下に動くとき、すなわち切れないときには、
その歯が後ろに下がる。
よって、軽いタッチ切ることができる。
そういう仕組みなんですわ……アア、セツメイ、ムズカシイデス。


しかしながら、個人的には。
このジグソーのオービタル機構、いかがなものかと思っている。
というか、役に立たない、使えない。
曲線を切ろうものなら、だいたいうまくいかない、キレイに切れない。

そりゃそうだろう。
往復運動するノコギリ歯が、ジグソーの進行方向に対して、
下がったり、前に出たりしたら。
直線に切るならいいかもしれないが、
曲線を切るなら、木材とノコ歯のあいだに、
無用のストレスが生じてしまうにちがいないもの。


要するに。
オービタル機構は「ありがためいわく」な機構なのだ。
(あくまでも個人的に)

きょう、ジグソーを使いながら、
(もちろん、オービタルはOFFにしてます)
オービタル機構について考えていた。

なんだか、オービタルって、
カーナビの画面みたいだなって。

え、わからない……ですよね。

えーと。
グルグル回りますよね、カーナビの地図。
クルマが進む方角に応じて、
地図が、画面のなかで回転する。

あれって、スゴイ。
ハンドル切ったら、地図が自動的に回るんだもん。


いっぽう、カーナビの画面について、こんな人もいる。
Aさんとして、名前は伏せておく。

Aさんによると…
「カーナビの地図は、いつも北が上になるようにしてる」んだそうな。

自動的に地図が回ってくれると、便利なのはわかる。
でもなあ……地図が回っちゃうと、
自分のクルマが、いま走っているエリアにおいて、
どのへんにあるかというのが、把握しづらくなるんだよね。

「地図が回るのは、余計なこと」なんだそうな。
だから、カーナビの地図は回らないように設定してるらしい。

「男はだまって“北が上”だろ!」
Aさんの弁である。

なんだか、むかしのベストセラー、
『地図が読めない女、話を聞かない男』を思いだすが。

まあ、一般的には、カーナビの地図は回ったほうがよいだろう。
でも、地図に強い人には「ありがためいわく」な機能なのだ。


文が長くなりましたが、
オービタル・ジグソーに、回るカーナビ地図。
「ありがためいわく」な話でした。


ちなみに。
Aさんは、なにをかくそう、私です……。


■ 2010/08/28 ■



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Illustration:Motoko Umeda
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