木で何かを作る。
切る、削る……さまざまな工程が必要となるけど、
必ずといっていいほど入ってくるのが、
「接着」のプロセスだ。

けっこう、これに時間がかかる。
接着剤の乾燥に時間がかかるから。
強度を重視する箇所の接着なら、12時間から24時間を要する。

待たねばならぬ。
つまり、工程上の「待ち時間」が生じるのだ。

もちろん、待ってるあいだに、ほかの作業はできるわけで、
忙しくなれば、複数の作業が、パラレルに進行する。


待ち時間について。
どちらかというと、苦にならない。
タイプ的には、けっこう待てるほうだと思う。

待ち時間について、つらつらと考えてみる。
そして、ハナシは飛躍するのだが。


新幹線で、東京と大阪のあいだを移動するとき、
時間が許せば「こだま」を使うことがあった。
安く乗れる。空いてるし。

東京〜大阪、約4時間かかる。
のぞみなら2時間半かからない。

さぞかし、こだまはゆっくり走るのかというと、そうではなくて。
こだまは各駅に止まり、しばしば、
のぞみ、ひかりの通過待ちをするのだ。
実際乗ってみると、この通過待ち時間が、
かなりの部分を占めることがわかる。

ホームに降りて、ビールとおつまみを買ってみる。
つぎの通過待ちでは、缶チューハイを。
つぎの通過待ちでは、ふだんは飲まない、ワンカップの日本酒まで…。
こうなってくると、待ち時間なんて気にならなくなる。
気になるのは、酒量が増えることか。


ついでに鉄道&待ち時間つながりで。

学生時代の夏には、普通列車乗り放題の
「青春18きっぷ」で、旅に出たものだ。

各駅停車、鈍行列車。
むかしのことで、いまはどうか知らないけれど、
鳥取、島根など、山陰地方を走る普通列車などは、
大きな駅での停車時間が30分以上、なんてことがザラにあった。

時間がある。
ホームに降りて、立ち食いそばをすする。
それでも時間がある。
手足を伸ばして体操をする。
それでも時間がある。
改札を出て、駅前通りを歩き、
郵便局で切手を買って、ポストに旅のハガキを投函して。

こういう待ち時間というのは、
楽しい出来事として記憶している。

待ち時間には、独特の味わいがある。
待ち時間は、楽しい。
アイ・ラブ・待ち時間!

……いやいや、そんなことではイカン!

これからの木工というのは、
作業・工程上の待ち時間、ひいてはお客様の待ち時間を
いかに少なくするというのが、
カギであるような気もしている。

でもなぁ…。

待つということで、
これまで、いろんなものを
獲得してきたような気がするんですよ。

だからといって、誇るべきものなんて、ないんだけれど。


■ 2010/08/20 ■



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Illustration:Motoko Umeda
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