鳥が巣を作った。
巣は、事務所のキッチンの換気扇口にあった。
営巣している親鳥と目があった。
ダクトの暗がりに、ふたつのつぶらな瞳。
許しを請うているような目だった。
許すも許さないもない。
どうぞ、お好きに、いとなんでください。
換気扇、回しません。
保護区に指定いたしました。
サンクチュアリでございます。
私も越してきたばっかりなんで。よろしくね。
引っ越してきて以来、
駐車場に鳥が足繁くやってきてはいたので、
『なんでだろう』とは思っていた。
まだ、ピヨピヨとは鳴き声はしない。
だから、卵はかえってない。
なので、エサ探しに飛び回る必要はないのだろう。
オスだろうか。一羽は駐車場を所在なさげに歩いている。
白黒のツートン・カラーの鳥が、
尾を上げ下げしながら、ポツポツ歩く。
ところで。
あなたがたは、誰ですか?
名前は何ですか?
“春 鳥”で、web検索したら、
焼鳥屋さんがズラリと出てきた…。
なんとも、シニカルではある…。
それでも、しらべてみる。
セキレイのようだ。
水辺を好むらしい。
あたりには田畑がいっぱいある。
ここは、安曇野だもの。
用水路にはたっぷりと、キラキラと、水が流れる。
春だ。
否定しようもない、圧倒的な春だ。
■ 2010/05/24 ■
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Illustration:Motoko Umeda
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