クラフトの世界には、
“三大クラフト”と呼ばれる公募展がある。
「日本クラフト展」
「工芸都市高岡クラフトコンペティション」
「朝日現代クラフト展」
これらが、三大クラフトだ。
作品を募集し、
選考して、入選、入賞作品を決める。
作家たるもの、
箔をつけておくに越したことはない。
そこに、クラフト展で賞を取る意義がある。
三大クラフトをはじめ、
おもだったエキシビジョン、コンペティションについては、
毎年、受賞作品をチェックし、
できるだけ、会場に足を運ぶようにしている。
ある日、つい最近のこと。
「朝日現代クラフト」がなくなったことを知った。
ホームページに無機的に掲載されていた、お知らせ。
なんの予告もなかった。
頭上を大きな鳥が横切り、
日差しが遮られたかのようだ。
この前の作品展が最後なら、
「今回で最後です」と言ってほしかったな。
まあ、主催者サイドだって、わかっていたら、
やめます、と言っていただろう。
やはり、一連の不況、不景気が影響したのか。
「朝日現代クラフト」は、
その名のとおり、朝日新聞がうしろ盾になっていた。
阪急百貨店も協賛していた、と思う。
民間の色合いの濃いクラフト展だった。
それだけに、対費用効果が疑問視されたのだろう。
ちなみに、残る2つについては。
「日本クラフト展」の後援は、
経済産業省、文化庁、
財団法人日本産業デザイン振興会、NHKが。
「高岡クラフト」は、
経済産業省、中小企業庁、中部経済産業局、
日本商工会議所、(財)日本産業デザイン振興会、
(財)伝統的工芸品産業振興協会、(財)日本ファッション協会
が後援している。
公的な支援を受けているようだ。
だからといって、ダイジョウブではない、だろうな。
かの“事業仕分け”なんてあったりするから。
ま、文部科学省系の予算ではないので、セーフか?
でも、経済産業省の予算だって、どうなるか、わからない。
三大クラフトのひとつがなくなる。
けれど、なくなったからといって、
もう終わり、ではないはず。
森には「倒木更新」というのがある。
大木が倒れるから、そこに陽があたり、若芽が出るのだ。
大木ひとつ、倒れようとも、
あたらしい仲間を加えて、
「三大クラフト」が再確定するはず。
そう信じたい。
面積が減りつつあるような“クラフトの森”。
その森で生きる身としては。
■ 2010/02/26 ■
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Illustration:Motoko Umeda
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