U2の「ニューイヤーズ・デイ」を聴きながら
今年の仕事を始めた。

アイルランドのロックグループ、U2(ユー・ツー)の唄は、
社会派なメッセージが強い詞を、
ロックとして、
スタイリッシュに成立させているところがよい。

寒さ厳しく、不景気が取りざたされている
この冬に聴くにはぴったりだ。


松本に越してきて、
何度めの冬になるのだろう。
信州の冬というのは、ハンパじゃなく寒い!
氷点下5℃以下の朝がザラにある。


東京や大阪の人に、
「マツモトは寒いんですよ」と言う。
そうすると、たいてい、
「ユキ、大変でしょう?」と訊かれる。

なるほど。
全国の天気予報では、
長野のところに、しばしば雪ダルマのマークが登場する。
スキー場もいっぱいある。冬季オリンピックもあった。


だが、松本に雪が降ることは、あまりない。

天気予報の「長野」とは、
長野市がある、長野県の北部のことである。

松本は、天気予報の区分では、県の中部だ。


県北部を走るJR信越線や、信越自動車道が
「雪で不通です」とのニュースが流れていても、
松本は、雪ひとひらさえ舞わない、
晴天の青空であったりする。


どうして、松本は雪が少ないのか。

雪を降らせる雲は、空高く、日本海側からやってくる。
しかし、さしずめ高所にある雲とはいえど、
3000メートル級の北アルプス山々には、ぶつかってしまう。
雪はそこで、すっかり落ちてしまうのだ。

北西、あるいは西からの風にのって、
北アルプスにぶつかった雪雲は、
カラカラに乾燥した空気となって、
松本盆地に降りてくる。


松本は雪が降らない。
雨も少ない。
梅雨を除けば、年じゅう湿度が低い。

空気に湿気が少ないことは、
木の仕事をするには、まことに好都合。
木材は湿気を吸うと、くるってしまうから。


この気候のおかげで、
松本では、木工業が栄えた。
木工がさかんだから、
小生、ここ、松本にいる。

寒さぐらい、ガマンせねば……。


■ 2010/01/23 ■



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Illustration:Motoko Umeda
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