秋もいよいよ佳境。

あたらしい朝を迎えるごとに、
アルプスの山々の色が変化していく。

そんな風景のなかを
クルマで疾走する気持ちよさ。

しかし。
そんな夢見ごこちが破られることも。


路上に、野生動物のなきがら。


冬、近づくこの時季に、よく出くわす。

エサさがしに必死だったのか。
リスクを冒してか、なにも知らずしてか、
道路を渡った結果……。

うずくまる小さな躯体。
クルマが、いまいましげに避けて通る。


その命、
山野での生存競争や淘汰のなかで、
落としてしまうならまだしも。

人間の文明が、その魂を昇天させてしまう。


彼らの不注意ではない。
不可抗力で片づけられるほど、単純ではない。

人間が改変した環境に順応していないのだ。

かといって、動物をばかにすることなかれ。
彼らは、本能と習性にしたがって生きている。

だって『どうぶつだもの』
問題は、人間、文明サイドにあるのだ。


そんなことをつらつら考えながら、
クルマを走らせていると、
渋滞にはまってしまった。

ノロノロと動く、文明の利器の列。
そのなかで、ふと思った。

人間だって、どうなのか?

走り続ける文明に、順応できていないんじゃないか?
回り続ける文明の車輪に、轢かれてはいないか?

もしかして、
現代文明って、失敗してる…?


失敗も、そのスケールが大きくなれば、
『にんげんだもの』
では済まされなくなる。


■ 2009/10/31 ■



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Illustration:Motoko Umeda
2008年4月〜2011年3月 工房創成期の軌跡
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