安曇野は古くから開かれた場所だが、
その土地が広大であるがゆえ、
戦後にいたるまで開拓民が入った、
屈指のフロンティアだった。

いまとなっては、あらゆる場所が拓かれ、
農地に住宅や工場、商業施設が混在し、
景観破壊が問題となっている。


むかしの安曇野って、どんなんだったのだろう?

松本市街から少し抜けたところに、そんな景色がある。
国道19号線を北上し、
松本トンネル有料道路への分岐を過ぎ、
1kmほど行ったところ。

そこから左側(西側)を眺める景色。
人工物は一切ない。
犀川の河原の向こうには林。
さらに、北アルプスの山々が連なる。

開拓者はこんな風景と対峙し、
何を思ったのだろう?
無限に広がる可能性に、希望をふくらませたのか?
それとも、途方もない労働に、故郷を懐かしんだのか?

新しい土地に住むことが
開拓なのか、移住なのか、進出なのか?
その定義、線引きはあいまいだけど、
開拓というのは、新しい土地に
“自然条件の厳しさ”が含まれる場合によくつかわれる。

松本平に冬がやってきた。
北アルプスの山々が、日々白さを増してゆく。
とはいえ、平地には雪は少ない。
寒風が吹き荒れる日も多くはない。

大地ごと、しんしんと冷える。
これが松本平の冬の厳しさだ。


■ 2008/11/18 ■



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Illustration:Motoko Umeda
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